のりの豆知識
のりの主な産地
のりは、大きく分けて東日本、瀬戸内、九州と3区に分かれ生産されています。
のりが出来るまで
- のりの養殖される季節は冬。
- のりは、海水の温度が18度以下にならないと育ちません。
のりにとって、いちばん育ちやすい海水の温度は約11~13度です。海水の温度が10度より冷たくなると、のりの成長は止まってしまいます。
毎年、北風が吹き始める10月ころから翌年3月までの寒い冬の間に、のりは生産されます。
のりが育つ漁場の条件はいくつかあり、まず、おだやかで遠浅な海であること。次に、潮の流れによって、適度な水の交換ができること。そして、のりが育つのに必要な栄養塩が川から運ばれることです。
のりの養殖が始まった江戸時代から、このような条件を満たす漁場を見つけて、のりの生産地が少しずつ拡大していきました。
のりは、海の中にある窒素、リン、カリウムを食べて育ちます。窒素、リン、カリウムは「植物の三大栄養素」と呼ばれ、植物プランクトンや海藻類の成長に欠かせないものです。窒素とリンは、山の中のミネラルが源となっています。雨がふると、山の中のミネラルが川に流れ、そして海に流れて、のりの栄養となります。 - のりは夏の間、牡蠣殻の中で過ごす。
- のりの養殖が終わる春頃、のりの葉体は成熟し、オス・メスのある有性胞子が放出されます。この胞子がくっつき果胞子となり、夏の間、糸状の形になって牡蠣殻にもぐりこんで夏を過ごします。この形を「糸状体」といいます。
全国にある水産試験場などを中心に、糸状体が病気や栄養不足にならないように気をつけながら培養していきます。 - のり網にのりのタネをつけることを「採苗」という。
- 海の温度が下がると、成長した糸状体は分裂して殻胞子を放出します。この殻胞子がのりのタネとなります。
採苗には、大きな水槽に牡蠣殻糸状体を入れて、その上の水車に網を張り回転してタネ付けする陸上採苗と、“落下傘(らっかさん)”と呼ばれる袋に牡蠣殻糸状体を入れてのり網につるす海上採苗の2つの方法があります。 - のりの養殖方法は「支柱式」と「浮き流し」の2つ。
- のりのタネを育てる期間を「育苗」といいます。この時期は、台風がきたり、急に暖かくなるなど、のりが病気になりやすく、注意しながら育てています。
のりを育てる方法は2つあり、1つは支柱を立て、支柱にのり網を縛り、のりを育てる「支柱式漁場」。
もう1つは、のり網のまわりに浮きをつけて、海底にいかりで固定し網を海面に浮かせる「浮き流し漁場」です。 - のりを収穫する季節は冬。
- のりの芽は、約2週間すると20cm程に伸び、このくらいの大きさになると、いよいよのりの収穫が始まります。昔は手やハサミを使い収穫していましたが、現在はのりを摘み取る摘採機という機械を積んだ船がのり網の下にもぐりこんでのりを収穫します。早い産地は11月中旬、遅い産地でも12月上旬から始まり、翌年の4~5月まで収穫は続きます。
収穫した生のりは、ミンチ状に細かく切った後、真水で洗い、機械で抄き・脱水・乾燥・剥ぎという一連の工程を行います。のりをいちばん収穫する12月から1月は、この機械は24時間フル回転します。工程を終えたのりは、10枚ずつ重ねて半分に折り、さらに10帖ずつ重ねて紙ひもで結んで1束にし、1箱に36束を入れて、各漁業協同組合に出荷します。
漁業協同組合では、2つの検査を行います。まず、のりに海のゴミなどが付いていないか金属探知機を使って検査し、次に、ベテランの検査員が色、ツヤ、味などを検査し、品質ごとにランクづけを行います。このランクづけを「等級検査」といい、等級は、それぞれの漁業協同組合で基準が異なります。
等級分けしたのりは、漁業協同組合の入札会に集められます。この入札会には、全国ののりの流通に関わる会社が集まり、各社の商品にあったのりを見分けて、値段をつけます。入札とは、いちばん高い値段をつけた会社が、ほしいのりを買えるシステムなので、入札会はいつも緊張感があります。
入札で落札したのりは水分を10~12%含んでいます。この水分量では、焼いたり、味を付けたりするには多すぎるので、約2%前後になるように乾燥させます。また、水分量を減らすことにより、おいしいのりを長期的に保管することができます。この乾燥する作業のことを「火入れ」といい、火入れしたのりは、湿気がこないように密封し倉庫で保存します。
火入れしたのりは、商品に応じて、加工します。まず、のりを焼き、その後、のりの品質によって、贈り物用にしたり、食べやすい大きさにカットしたり、味をつけたり、コンビニのおにぎり用にしたり、おせんべいなどのお菓子用にしたりと、加工のしかたは会社によって様々です。
のりの栄養成分
- エネルギー(kcal)
- 188
- たんぱく質 (g)
- 41.4
- 脂質(g)
- 3.7
- 炭水化物(g)
- 44.3
- ナトリウム(mg)
- 530
- カルシウム(mg)
- 280
- カロテン(μg)
- 27000
- レチノール当量(μg)
- 4600
- ビタミンE(mg)
- 4.6
- ビタミンB1(mg)
- 0.69
- ビタミンB2(mg)
- 2.33
- ビタミン B12(μg)
- 57.6
- ビタミンC(mg)
- 210
- 食物繊維(g)
- 36.0
- 五訂食品成分表より
- 100gあたり